私たちは食事を済ませると部屋へと戻りゆっくりと時間を過ごしていた。
「なぁ唯~」
『なにー?』
窓辺にある椅子に腰をかけ、
雑誌をペラペラとめくりながら私に話しかける健人。
「さっき食堂のおばちゃんから
聞いたんだけど
ここの旅館の屋上から見える星
綺麗なんだってー」
私は小さい頃から星が好きで、
冬になると必ずオリオン座をみつける。
夏には夏の大三角形
小さい頃、
七夕の日には織姫さまと彦星さまが
会えるようにってずっと夜空を見上げてたっけ…(笑)
でも最近、星なんてみてないな…
それよりも見えるのかな…
「夜になったら屋上行く?」
迷うはずなんてない
答えは決まってる!!
『うん、行くっ!!』
「よしっ」
健人は開いていた雑誌を閉じて、
ゴソゴソとバックの中をあさりだした。
『何してるの~?』
私は広く大きなその背中に抱きついた。