いつも眼鏡をかけていない唯が
今日だけはかけている
少し痛む俺のこころ。
「いいよ、私が出ていく!」
唯は課題と筆箱を持ち、
教室を出ていってしまった。
そして追いかけるように愛美まで…
「悪いけど
自分達の教室に戻ってくれないか」
さっきとは別人のように
優しく、穏やかな口調で自分の回りにいる
女子達に言っている。
「わかったぁ~」
「また来るね!」
何て甘い声を出して、
健人を取り囲んでいた人たちは
あっという間に教室から出ていった。
あんなに騒がしかった教室は
チュンチュンと小鳥のさえずりが
聞こえるくらいの平和な教室へと戻った。