だけど…

「いやっ離して!陵也が待ってるの!
私は行かなきゃいけないの」

愛美は俺の手を離そうとする。
だが、俺が掴む力はより一層強くなった。



『何言ってるんだよ
愛美っ!! お前しっかりしろっ!!

もうお前が苦しむ姿なんて
俺、見たくないんだよ!!

頼むから行かないでくれ』


叫ぶ声に近いほどの
大きな声を出して言ってしまったせいか

愛美の動きは止まり目に涙を浮かべていた


「分かった」

『ごめんな、怒鳴ったりして』


「んーん、私こそごめんね
でも龍のおかげで目が覚めた」

『目が覚めたって?』


そう言うと愛美は立ち止まって
近くのファミレスを指す

「入ろうよ」