翼は、すごく悲しそうな顔をして。



「お前、噂に惑わされてんのかよ。俺は、誰とも付き合ったりしてねぇ。…ンなことも、わかんねぇのかよ」




 そう呟いて。



 強引にキスしてきた。




 キスの味は、しょっぱくて。



 それが、私の涙だと気付いたとき、翼は私を抱き寄せてたんだ。



「翼…?」


「また、川瀬の心配か?」




 あ。



 あのときに私が言ったこと…覚えてたんだ。