ひろくん......ひろくんはやっぱり雲だ。



風に乗ってすっとあらわれて、あたしを優しく包んですっとまた飛んでいく。



夏の穏やか風があたしたちの間に吹き込む。


ひろくんにもらった勇気をもってあたしも言わないと。



「あの........」




「杏奈。」




同時に重なった二つの言葉。



「ゆ、悠真から先に言っていいよ。」