うちが立ち止まったのを見て、勝利が話を続ける。



「俺、実奈子にメッチャ悪いことしてもうた。傷つけてもうた。ホンマに、ごめん!」


うちは勝利の方を向いた。


そこには、図書館の中やってことも忘れたかのように、頭を下げて謝ってる勝利がいてた。



周りの人がうちらのことを見てる。

この視線、やっぱり痛い。



このままやったらたくさんの人に迷惑かけてまう。


勝利の傍によって、その肩を叩くうち。


そっと顔を上げた勝利がうちの目を見た。



そこで気づいたんか、勝利が周りを見た。


「あ、すみません・・・」


小さく呟いて、片づけを再開する勝利。






それからうちらは外に出た。


外はすでに真っ暗。


でも、そんな中でもうちはたくさんの小さな光をたくさん見つけてた。



空を見て立ち止まってるうちに気付いた勝利は「おーい」ってうちの目の前で手を振る。


「実奈子、どうかしたん?」


首を横に振ると、何か安心した顔で歩き出す勝利。


いや、そんな顔されてもうちには何のことやらわからへんのやけど。



しばらく歩くと勝利が急にうちの方を向いた。


目をパチパチさせると、勝利が話を始めた。



あの、ここ道のど真ん中なんやけども?


「俺な、ここ最近図書館に行く時間めっちゃ遅くしててん。実奈子に会わへんようにて思て。」


そんな言葉から始まった会話。


この会話がうちと勝利の間に生まれた変な溝を埋めていった。