だけど、梓紗の異変に気が付いた。
何故かこのとき、俺は梓紗を抱き締めていた。
「なんでそんなに泣きそうな顔してるわけ。」
梓紗は顔を歪ませて俺を見ていたんだ。
「っっ………。」
「なぁ、どうして??」
「あたしはっ………夏起くんのことを汚いとは思ってないよっ。」
そう言って、梓紗は俺の胸の中で泣きじゃくった。
「梓紗??」
こんなに泣く梓紗を見たことがなく、少しだけ焦る。
「あたしの方がっ………汚いんだよっ。」
そっと身体を俺から引き離す。
「離れない。」
俺は、梓紗を強く抱き締める。
今にも儚く壊れてしまいそうな梓紗を。
「ダメだよっ…………あたしはダメだよっ。」
必死に俺の腕の中から逃げようとする梓紗。
「何がダメなんだよ!!!!」
「あたしは汚いのっ!!!!あたしはっ!!!!」
その瞬間、梓紗の首元を見てビックリした。
俺の腕から逃げようとした時にはだけてしまった制服からは……。
「この痣…………。どうしたの。」
そっと触れると、恐れるかのように身体を揺らす。
「これはっ………転んだときにちょっと…………。」
明らかに梓紗は動揺している。
俺と瞳を合わせようともしない。
それに…………。
「じゃあ、なんでそんなに震えてんの??」
「っっ!!!!」
「なんかあったなら…………話してくれよ………。」
酷く掠れた様な声が出た。
少しでも俺を頼ってほしい……………。