俺はその場にうずくまった。
俺は、なんてことをしてしまったんだろう。
梓紗をどれだけ傷付けてしまったんだろう。
もう、梓紗を忘れたいと思ったのに。
結局は、梓紗のことを考えてしまって。
どんな時も、梓紗だけだった。
女を抱いてる時も、梓紗と重ね合わせて………………。
忘れたように思っていても、感じていても。
「忘れられねぇよ……………。」
小さな小屋に響く俺の声は酷く掠れていた…………。
そのまま行くあてもなく、海を見渡した。
この海で…………初めて梓紗に会った。
いつもなら、溺れてる人でも助けない。
それが『海の掟』だから。
溺れてる人に近づけば自分が巻き込まれて二次災害に遭う。
助けた奴もそのまま_______死に至る_____。
だけど、そのままピクリとも動かない身体に心を奪われた。
海の中をユラユラと揺れてゆっくりと遠ざかっていくその姿に。
だから、気が付いたらサーフボードに梓紗を乗せていた。
それから、海の冷たさで冷え切った体を温めるように色んな事をした。
そして、起きた梓紗に俺の心は『捕らわれてしまった』
うっすらと開かれた瞳。
黒く艶のある髪。
何よりも、その何もかもに恋をした。
俺は心も何もかも『堕ちた』
捕らわれた、奥深くまで堕ちてしまった心はもう______。