琉斗から何度も言われた『好き』に今までの我慢が無くなっていく。


心の中が幸せで満たされていく。


「ねぇ、琉斗??」


「どうした??」


「あたし、琉斗が好き。」


「っ!?!?」


「アハ、顔が真っ赤だよ。」


「っうるせぇ!!!!」


そういって、琉斗はあたしの唇を塞いだ。


「んっ…………」


激しく、でもどこか優しく。


ゆっくりと離れていく琉斗に少しだけ物足りなさが心の中にあった。


「っんな顔すんな、止まんなくなる。」


「止まらなくても良いのに。」


「なっ!!!!」


「だって今までキスなんて数えるぐらいしかしてないもんっ!!!!」


「これからは数えられないぐらいしてやるよ。」


琉斗の顔が少しだけ赤くて、でも無邪気に笑う顔に胸が締め付けられた。


やっぱり、あたしは琉斗が好きなんだなぁ。





そんなことを考えていたから、梓紗のことを考えてあげられなかったんだ。






梓紗の苦しみに気付いてあげられなかった。






夕陽があたしの瞳に強く焼き付いた日だった。