あたしの話を聞いた彩海の顔があたしには見れなかった。


いくら赤の他人と言ってもあたしと彩海は『同性』だ。


あたしの行動に、犯されたことにどんな表情をしているのか想像がつかなかった。


         怖い________________________。



あたしは顔を上げることが出来ないでいた。


だけど、少しだけ鼻を啜る音が聞こえて顔を勢いよくあげた。


そこにいた彩海は…………………。


「なんで……………泣いてるの??」


あたしとは全く違う濁りのない瞳からポロポロと大粒の涙が止めどなく溢れていた。


「あたしがっ…………もう少しっ……早くっ……梓紗にっ……会ってれば!!!!」


彩海は涙をこぼしながらそんな事を言ってくれた。


「ありがとう。」


気が付いたら、彩海にそう伝えていた。


あたしのために泣いてくれる人が居た。


そんな事実に心が張り裂けそうなほどに嬉しかった。


あたしは1人じゃなかった。


そう思えたから。


彩海が………例え赤の他人の人でも少しでも気持ちを分かってくれる人が居た。









       あたしの頬に一筋の涙が流れた。