「それはNOってこと??」


「違う。」


「じゃあ、OKってこと??」


「それも違う。」


「じゃあ、なんで??」


「あたしには答えられる権利が無い。」


「どうして??」


「今から、また夏起くんに抱いてもらうからだよ??」


「…………えっ…………。」


あたしは夏起くんをベッドまで連れていくと、ストンッと縁に腰を下ろした。


「好きならまた抱いてよ。良いでしょ??」


「梓紗、真面目に答えてくれ。」


「至ってあたしは真面目だよ。」


「じゃあ、そんなこと言うなよ。」


「好きな女の子が抱いてって言ってるのに抱かないの??本当はまた抱きたいんでしょ?・だからここに連れて来たんでしょ??」


「違う。」


「じゃあ、なんで連れてきたの??」


「俺は梓紗と話をしたい。」


「あたしが話をするのは抱くか抱かないかの話だけ。」


儚い想いだから。


『好き』なんて儚すぎてすぐに狂ってしまう。


「どうしたら聞いてくれる??」


「何をしてもあたしは聞かない。答えられない。」


「俺のことが嫌いだからこんなことするのか??」


あたしの目の前に立っている夏起くんは切なそうに話す。


「嫌いなんかじゃないよ??好きだよ??」


嘘は言ってないのに心が軋んでいく。


「じゃあ、なんで「あたしは好きだよ、夏起くんの身体。」」


夏起くんの表情が固まった。


「あれっ??あたしって夏起くんを好きなんて言ったっけ??」


壊れた思考回路は治ったように見えただけだった。


思考回路は壊れるどころか…………修復不可能だった。




「……………抱いてやるよ。嫌いになるほどな。」







そのまま夏起くんは乱暴にあたしを押し倒すと。


めちゃくちゃにあたしを壊した。


あぁ、良かった。


海が冷たかったおかげで感覚がしてるみたい。


殴られた背中やお腹の痛みも心の痛みも何もかも感じない。


感じるのは夏起くんが何度もあたしの名前を呼ぶだけ。


あたしは自分で綺麗にしておきたかった場所を。



「汚しちゃった。」



その呟きは夏起くんにも誰にも聞こえることは…………無かった。