彩海は俺を少しだけ見ると、瞳を逸らした。
「なんで、逸らすんだよ。」
不安になった俺はすぐに聞いた。
「なんか、今まで付き合ってたのは幻なのかな……って思ってたから。」
彩海は儚く笑った。
その表情は今までどれだけ彩海に不安な気持ちを抱えさせていたのかが分かった。
「…………幻か…………。」
「でも、いまあたしの隣に居る琉斗は幻じゃないよね??」
「…………当たり前だろ。」
俺は、さらに彩海のことを強く抱き締めた。
彩海が俺の前からどこにも行ってしまわないように。
「どうしたの??そんなに強く抱き締めて。」
モゾモゾと彩海は俺の腕の中で動き始めた。
「いや…………別に………特に理由は………。」
こんなの言えるわけねぇだろ!!!!
俺が彩海がどこかに消えるんじゃないかって不安に思ってるなんて……。
しかし、その答え方がいけなかったのか…………。
「そっか………。」
さっきまで笑顔だった彩海の顔から涙が瞳にジワリッと出てきていた。
「…………だぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「なっ!!!!なに!?!?」
「そんなに泣きそうになるなよ………。」
「だって………。」
「ただ、彩海が居なくなるのが不安で仕方ないんだよ!!!!」
「えっ………。」
「彩海が俺の前から居なくならないようにって思ったからだよ!!!!」
今の俺の顔はどんな顔をしているだろうか………。
恥ずかしすぎて彩海の顔が見れねぇ………。