初めて彩海をこんなに抱き締めた気がする。
俺は彩海を抱き締めながらそう思った。
今までどれだけ彩海の話していなかったか。
触れ合っていなかったのか実感出来た。
俺は彩海の左手の薬指にある指輪にそっと触れた。
「どうしたの??」
少し不思議そうに、だけど幸せそうな笑顔を浮かべながら聞いてきた。
「いや、なんか左手につけて良かったのかなって…………………。」
「じゃあ、琉斗は何も考えずにあたしの左手に指輪をつけたの??」
その顔は少しだけ不安の色が見えた。
「違ぇよ。」
俺はすぐに答えた。
俺は彩海とずっと居たいから。
どんな時でも彩海を支えたいから。
『左手の薬指』に指輪をつけることは誓いを意味するって誰かから聞いた。
俺は彩海とずっと一緒に居る誓いを指輪にかけたんだ。
「琉斗とあたしが考えてること、同じだね。」
「えっ??」
俺、なんか言ったか??
「全部、口から出てたよ。」
彩海は可笑しそうに笑った。