大きく切り取られた飾りのついた窓。

 淡い緑が段々と色を濃くしていっていて、日差しもこの前よりまぶしく感じる。

 確かにこの日差しの下だったら、実際の色より髪が明るく見えてもおかしくない。




 でも、正体を知ってるあたしは落ち着いてなんかいられない。

 別に、雅が男だってばれたってあたしにはどうでもいい事なのに。




 当の雅はさすが1年も(それかもっと前から?)女装していたせいか、落ち着き払ったものだった。

「虎之助なんかに好かれなくたっていいわよ」

 ツンと雅は虎から目をそらす。

 そのタイミングであたしの身体が動いた。

 腰に腕が回ってきて、さりげなく引き寄せられた。



 そのタイミングで、ドキン、と大きく心臓が揺れる。




 ちょっと、なんなのよコレ。

 この前の夜からなんか変なんだ、あたし。




「まあ、俺も雅なんかどうでもいいや。ところでさ、小町。ゴールデンウィークのお休み、予定はどう?」

 虎はあたしの髪をくるくると長くて骨ばった指でもて遊びながら、あたしの顔を覗き込んできた。