・・*日向side*・・


俺の教室は・・・。


ん、ここか。
ドアの上にはプレートに『1-B』と書いてある。


間違ってないか、もう一度確認すると、勢い良く、俺はドアを開けた。


「・・・。」


音がないこの空間。


来るの早すぎたか

なんて思いながら自分の席へ向かう。



俺の席は窓側の一番後ろ。

窓から見える桜の木。
ここの景色、やべー。



「この席気に入った・・・。」


ポツリと呟いたその時、ドアが開く音がした。




―ガラガラ―


そこに立っていたのは、髪をワックスで立て、目を真ん丸くさせた、子犬みたいな奴。

いかにも、草食系代表って感じの奴。



「あれ、1人??

初めまして!!つか俺、君の前の席だわー」


とか言いながら前に座る子犬。


「俺、田中 勝人(たなか かつと)よろしくなっ!!」



朝からこのテンションはキツい。


この席気に入ったばかりなのに、俺、今日ついてないかも


とりあえず挨拶ぐらい普通か


「俺は中野日向。よろしく」


すると子犬・・・じゃなくて勝人はまた目を真ん丸にさせ、

「日向かー、めずらしい名前やん!つか、地味にイケメンやし!!」


ん、何だこいつのギャップは。


子犬みたいな顔に対照的なこの性格。


「地味ってなんだよ」


苦笑しつつ、2人顔を見合い笑った。


そんな会話をしてるうちに、いつの間にかクラスメイトが沢山いた。


25人くらいの男女が会話をしたり、騒いだり。


ドアの前でぴょんぴょん跳ねてる奴もいるし。




「日向ってさー。イケメンだしモテるよな?うん、絶対モテる」



「俺、女には興味ねーよ。女っていう生きものは嫌いなんだよ」


「は?なにそれ?ぷっ、真顔で答えるとか日向うけるし」




とか言いながら笑ってる子犬。


そのノリで笑った俺。



これは冗談なんかじゃない、俺のガチな答え。



女は嫌いなんだ。


小さなことで、もめ事したり、僻みやら嫉妬やらなんやら。



全部がそうゆうわけではない。


決して。



過去に、色々あったからとかでもない。


周りを見てきたら、いつの間にかこうなってる自分がいた。


だから女と深くは関わらない。

関わる必要もない。


話し掛けられたら話す程度。



「なんかもったいねーな、日向に彼女いないなんて」

勝人はボソッと呟く。



「彼女なんてつくる気すらねーよ」



「この歳でそんなこと言う奴初めてだわ、俺と全然違うわ」



「あ、募集中的な?」



「まーね、何でわかるん?」



「顔にかいてるよ」



勝人か。

高校入って初めて話したクラスメイト。


人見知りな俺にはこの席、意外といーのかもしれない。



悪くはないよな。