この人達、女を誘拐するなんて卑劣な手段使うくせに、根はすこぶるお人よしなんだね。





「…それより手解いて。」


「それは駄目だ。」




ちぇっ…

でもま、いっか!!




ローソク吹き消したら、切り分けたケーキを口に運んでくれる。

かと思ったら、別の人がジュースのストローを口に近付ける。





「きゃはー★逆ハー!?一生経験することないと思ってたのに、夢みたぁい♪」



手、縛られてマスケド、ね。



下手っくそな宴会芸まで始まって、アジト内は笑いに包まれた。

落ち込んでた気持ちも急浮上!

ちょっと楽しいかも!



…なんて思っていたのも束の間だった。







数分後、私は後ろ手に縛られたまま狭い室内を行き場もなく右往左往。

ギラギラと目を光らせた悪人面に囲まれて扉に追い詰められていた。


…涙目。






「やだ…っ。
ジョーダンだよね!?
ホント、ヤメテ…



やぁああああ!!!」





私の叫び声に「せーのぉ」という掛け声が重なった。