放課後。

教室に、シャーペンが走る音が響く。

ただ、いつもと違うのは。

その音が、1人分であるということ。

千広はというと、終鈴のあとすぐに帰ってしまった。

その後ろ姿を、自分の目ではっきりと見たはずなのに。

千広はそんなことしない、なんて期待して待っている私。

少し、自分が滑稽に見えた。

そんな時。

ガラッ。

「っ!!」

教室のドアが開いた。

その先にいたのは。

「..なんだ、春か。」

「なんだって、失礼だなコラ。」

私の友だちの、崎坂 春人(サキサカ ハルト)だった。

千広かも、って期待した自分が恥ずかしい。