「三月、今日は早く終わらせよう。体育館のギャラリーにいるから、逝け」
「黒羽、漢字違う。まだ逝きたくない」
「いいから行け、僕の人形!仮面の人形《マスクドール》」
「……うんっ!!」
私は駆け出す。冷たい風を受けながら体育館のギャラリーへ直行。
暗闇に慣れてきたおかげで、今はもう鮮明に全てが見える。
柵越しに、ライフルを構えた人影一つ。
「見ぃつけた」
「!!」
銃口が私に向けられる。そんな小さな穴で私を仕留められると思ったら大間違いだよ。
それにね、
「お前、弱いな」
闇の中から黒羽の声。それは相手の後ろから発せられた。
「いつの間に!?」
「残念、私は囮でした」
そう言う前に、相手はズルズルと倒れていた。うわぉ、弱い。
女王様はこんなに弱いの寄越したのか。こんなんじゃ腕試しにもならないよ。