「何だ、帰ってたの」
「あれぇ、黒羽?今日は随分とお早いご帰宅だね。どしたの?」
「別に……。気分」
私はふーんと適当に相槌を打つ。気分て、貴様は猫か!
「……黒羽、竜鄙さん大丈夫かな」
「僕が知る筈ないだろう」
黒羽はどうでもよさげにランドセルを放り投げる。黒羽はランドセルが似合わない。
似合わないグランプリがあったら優勝出来るよ。断言出来るね。
「だよねぇ〜」
「気になるの?」
「竜鄙さんには幸せになってほしいからさ。一葉ちゃん、お願いだから嫌わないで」
本人のいない所でお願いしたって意味はない。だけど例え本人にお願いした所で、掴むのは幸せなんかじゃない。
「……あいつは馬鹿だから大丈夫だろ」
「あいつ?一葉ちゃん?」
「馬鹿な決断をする奴だ。きっと馬鹿な決断をしてる」
「どういうこと?」
「心配はいらないってことだ」
「ふーん」