「この人達、一見怪しいけど敵じゃないから大丈夫」
女の子は竜鄙さんの服の裾を握りしめながら、ペコリと頭を下げた。
「陽渡 一葉(ひわたり いちは)です。先程は失礼しました」
「わー、礼儀正しいね。何で誘拐したんですか?ズバリ一目惚れ?」
「はい」
竜鄙さんは、はにかみながら笑った。
「でも可愛いですもんね。連れて帰りたい気持ちわかりますよ。
えーっとそれで、今日は怪我を診てもらいに来ました」
「そのようですね。見た所全て軽傷のようですが、診療しましょう」
私は竜鄙さんの後に続いて、医療室に入った。黒羽と一葉ちゃんはリビング。
「竜鄙さん、まだ一葉ちゃんに手はつけてないですよね?」
「当たり前ですよ。一葉ちゃんはまだ僕のこと好きになってくれてないので。それに、年齢もまだ14ですし」
「またまた良識ぶって。気持ちはともかく、竜鄙さんにとって年齢なんて関係なしでしょ?」
「年上は嫌いですけどね。10を越えれば守備範囲内です。あ、ロリコンとか言わないで下さいね」