ガチャリと、玄関から音がした。あ、帰ってきたかなぁ。
「……あれ、黒羽くんじゃないですか。お久しぶりですね」
「あぁ」
「竜鄙さんお久しぶりですっ。ねぇねぇ竜鄙さん、あの子誰ですか?」
竜鄙さんは「あぁ」、と言って、ニコッと微笑んだ。万人がときめく魅惑の笑顔!
「誘拐しちゃいました。可愛いでしょう?」
キッチンの方を見ると、女の子がちょっぴり顔を出してこちらを伺ってる。
「可愛いぃぃぃぃ!!」
「大丈夫だよ、一葉ちゃん。おいで」
あ、竜鄙さんが敬語じゃない。
竜鄙さんが呼ぶと、女の子はトテトテと小走りで竜鄙さんの傍に行った。その仕草が愛らしい!