「……だから、なんだろうか」
黒羽が何か呟いた。
注がれてる視線の先にあるシチューは、キレイに人参だけ避けられてる。
こういう所は妙に子供らしい。
あ、黒羽はまだ小6なんだ。来年やっと中学生になるんだよ〜。
「黒羽、人参」
「……」
あ、無視しやがった。
「ねぇ黒羽」
「……」
「黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽黒羽」
「……っ」
あ、顔顰めた。
「……ねぇ黒羽」
「……」
「……あのね黒羽」
「……」
「大好きっ」
「ごほっ!!」
お茶を飲んでる途中だった黒羽は、私の言葉にむせた。
「だから人参食べて」
「話に繋がりがないんだけど。そんな言葉で動く程安くない」
「えぇ〜っ!お子様のクセに生意気な。年上の言うことは聞きなさい」
「年上だからってお前の方が偉いわけじゃないだろ。お門違いの注意だな」