「それなら黒羽だって、私の"わからない"が"わかる"くせして、どうしてそれを台無しというか帳消しというかとりあえず無意味にするような"作業"するの?
人の痛みが苦しみが哀しみが辛さも切なさも命の重さもわかるくせして、何でわざわざ殺すの?
理解出来ないよ。
道徳だとか倫理だとかモラルだとかそんなのは知ったこっちゃないけど、殺人は私の"わからない"が全て含まれた私の真実《こたえ》。
本来なら黒羽の位置は私、私の位置は黒羽。おかしいね、何でだろうね、あぁ、何が言いたいのかわかんなくなっちゃった。
んーと、とりあえず黒羽は意味わかんない!黒羽の存在自体イレギュラーすぎる」
「それ意味わかって使ってる?」
「よくわかんない。かっこよさげだったから言っただけ」
「……」
「んー、まぁ、私が黒羽を貶して言うとすれば、言葉で表すなら狂気因子《マッドファクター》だよね。
これが黒羽にとって悪口の対象となるかどうかは別としてさ」
「さぁね」
「他にも色々呼ぼうか?」
「遠慮しておく。他のはあまり好きじゃないんだ」