次の日、席に着くと先生が紙を配った。
「球技大会?」
小さく声を出す。
そして、後ろを向き舞桜に話しかける。
「球技大会だって」
「うん。楽しそうだねー」
舞桜は紙に目を向けたまま言った。
「なに…」
“やるのかな”と言おうとした時、前の方で咳払いが聞こえた。
嫌な予感がして、顔だけ向ける。
予感通り、先生が口に手を持っていきこちらを見ている。
「あ…」
やばっと思い、急いで体を前に戻す。
そして、すみませんと頭を下げる。
「ちゃんと聞いておくように」
「はい…」
そう返事をし、紙に視線を戻す。
先生は、さっきと同じように説明をし始める。
ふと横が気になり、目だけでチラッと見た。
そこには馬鹿にしたような桜太の顔。
あたしが振り向いたのに気づいた桜太は、ふんっと鼻で笑った。
そして
「バーカ」
と、口を動かした。