薄暗いスラム街のような場所に新崎響はいた。

「ここは…」

「ドリーム・ワールド」

新崎は後ろを振り向く。

するとそこには小さな可愛らしい女の子が立っていた。

新崎は思わず口を開いた。

「あなたは誰ですか?そしてここは?ドリーム・ワールドって一体……」

女は二、三歩こちらに近付き真剣な目をして言った。

「私は澄川怜。ここは…そうね。もう一つの世界と言ったところかしら。」

理解に苦しむことしか出来ない新崎。

「もう一つの世界?あ、俺補習が!」

溜め息をついて女は言った。

「心配しないで。ここでの一時間は向こうでの約一秒。ドリーム・ワールドの入口は日々移動してるの。一度入ってしまったら…」

「ずっとこのままなのか!?」

「いや…そうじゃなくて…」

女が続ける。

「自分の意思でいつでもログアウト出来るわ。ただ、眠ったり、気絶したりして意識がないときには自動的にドリーム・ワールドにログインしてしまう。」

新崎は今の自分の状況を飲み込めないまま女の話を聞いていた。