藪製薬
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『国内テロ組織尊南アルカイナ』
組織の事務所のドアを勢いよく開けて入って来るなり、羽毛田は大声で、部下の黒崎を呼びつけた。
「おい!黒崎ィ~~!
大至急車を出せっ!」
黒崎は、羽毛田のいつになく慌てた様子に、そんなに急いで一体どこに行くのかと尋ねた。
「“藪製薬”だよ!藪製薬!大事な用件だ!」
「ボス、製薬会社に大事な用件って、テロに使うウイルスでも盗みに行くんですかい?」
「そんなんじゃねぇよ!プライベートの用だっ!」
「仕事絡みじゃないって事は……ボスは花粉症か何かで?」
「違う、違う!」
羽毛田は黒崎に、先程の新聞記事の内容と、自分がこれから誘拐された鶴田教授の救出に、一役買おうとしている事を説明した。
「テロリストが人助けをねぇ……」
黒崎は、なんともやりきれないといった表情で、ボードに掛けであった“社用車”の黒いベンツのキーを持って、外へ出ていった。
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