ここは横浜埠頭の、とある空き倉庫の中である。


誰もいる筈の無い空き倉庫の筈だが、その中からは、なぜか男の高笑いが聞こえてきた……


「いやあ~♪アニキ~
今回は上手くいきましたね~♪」


「見ろ、ヤス♪
一億だぞ!一億♪これで俺達は大金持ちだ♪」



…またお前らか……



トランクの中の札束を嬉しそうに眺めながら、アニキがこの度の誘拐事件を思い出して、笑い混じりに語った。


「それにしても、あのハゲは笑わせてくれるぜ♪俺達が素直に人質を返すと思ってやがんの♪」


「顔を知られてしまった人質を、俺達が簡単に返す訳ありませんよね~♪アニキ♪」


「そうだな……可哀想だが、鶴田教授には死んで貰うしかないな……」


そう言って、アニキは不気味に口角を上げた顔で、横で縛られて身動きの取れない鶴田教授へと目をやった。



「ヒッ!た…助けてくれ~」



もう、一刻の猶予もない。
警察がまだ手掛かりを掴んでいない今、この鶴田教授を助ける事が出来るのは、羽毛田率いる尊南アルカイナしかいないのだ!