「いやあ~♪皆さん、どうも遅くなりまして♪」
ゆみが尊南アルカイナに到着したのは、羽毛田の電話から二時間が経ってからの事だった。
「お前は一体何を考えてんだあぁ~!」
顔を見るなり怒鳴り声を上げる羽毛田の顔の前に、ゆみはすかさず名古屋で買ったお土産を差し出した。
「ん?何だこれは?」
「名古屋でも有名な手羽先のお店で買って来ました♪皆さん、お腹が空いてるんじゃないかと思って♪」
「わあ♪美味そう~♪
さすがゆみちゃん気が利くわね♪」
「いやあ、丁度、小腹が空いてた所なんだよな~♪」
ゆみの機転で、場の雰囲気は一変した。
これがネゴシエーターであるゆみの才能の一つとも言える。
「さぁ♪皆さん、夜は長いんですから、手羽先でもつまみながら愉しくやりましょう♪」
羽毛田は、怒るタイミングをすっかり逸してしまった。
「クソッ……メイ!
ビール持って来い!」
「わかりましたにゃあ♪ボス♪」
眉間に皺を寄せながら、手羽先に手を伸ばす羽毛田。
この手羽先がまた美味いものだから、なんとも腹立たしいのだった。
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