「あっ!」


なんの気なしにテレビを観ていたサトが、突拍子もない声を上げた。


「急にどうしたんだ?、サト。」


「今……テレビに、ゆみが映ってた様な気がしたんだけど……」


芸能人でもないゆみがテレビに……まさか、事故か事件にでも巻き込まれてしまったのだろうか!


しかし、現在、事務所のテレビで放送されているのはニュースではなく、プロ野球の中継だった。


「おい!今夜の『中日~巨人』ひょっとして名古屋ドームか?」



羽気田が眉をひそめた。


「まさか……」


その数秒後、事務所の全員は信じられないという顔で、テレビ画面に視線を釘付けにしていた。



そこには……









中日サイドの応援席の中、ブルーの帽子にハッピ姿でメガホンを叩いて必死に大声を張り上げているゆみの姿が映っていた。



“ドラゴン”って……
“中日ドラゴンズ”の事だったのか……