「もう俺は帰るぞ!
こっちはこっちのやり方で、やらせてもらう!」


そう言って羽毛田は、部下の黒崎に合図をすると出口の方へ向かって、クルリときびすを返した。


「一億円はどうしてくれるんだ!」


背中でそう叫ぶ社長の千太郎に、振り向きもせずこう答えた羽毛田。


「とり返せばいいんだろ……あのクソ犯人からよ!」


社長室のドアが勢いよく閉められ、羽毛田は藪製薬をあとにした。