犯人からの電話
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その頃……
警視庁では、鶴田光教授誘拐事件の特別捜査本部が設置され、事件の犯人を特定する為の捜査会議が開かれていた。


最初に、本部長が皆に意見を求める。


「今回の事件で、犯人の手掛かりについて何か判っている事はないか?」


その本部長の問い掛けに、若手刑事達から“ヤマさん”といって慕われているベテラン刑事の“山下刑事”が発言した。


「鶴田教授は誘拐される直前に、画期的な発毛剤の開発に携わっていました……今回の事件は、この事が大いに関係していると考えられるでしょう。」


それを聞いた同期の長澤刑事(通称、チョーさん)が、思いついた様に呟く。


「するってぇと…犯人は、頭の毛の薄いハゲ野郎って事か……」


「いや…そうとは限らないだろう。
ライバル会社や産業スパイ…あるいは単に金目当ての犯行という事も考えられる。」


「まずは相手の出方次第って訳だな……」


「そうだ、必ず何かしらのコンタクトをとってくるに違いないからな。」


なにはともあれ、藪製薬に行って犯人からの電話を待ってみようという事で、捜査員の意見は一致した。