藪製薬の本社ビルの一階はロビーになっていて、入ってすぐの所には、澄ました顔の受付嬢が控えていた。


「おい!社長に会わせろ!社長に!」


いかにも怪しいサングラスの二人組が、突然やって来て“社長に会わせろ”と言っている。
受付嬢は怪訝そうな顔で、とりあえず相手の身分の確認を取ろうとした。


「あの…失礼ですが、どちらの会社の方でしょうか?」


「俺達は、テロリストの“尊南アルカイナ”だっ!」


「テ・・テロ・・・?」


受付嬢は、羽毛田の答えに困惑したが、手順通り秘書室に、相手の身分と風貌を内線で伝えた。


「あの…秘書室ですか?…“尊南アルカイナ”というテロリストの方が、社長に会いに見えてらっしゃいますけど……
お二人ともサングラスで、お一人は頭が……」