そう。あの時、あたし
抱きしめられてすごく心が落ち着いたんだ。
あたたかさに、すごく救われた。

だからきっと、苦しそうなシンを
抱きしめていたんだと思う。

「ありがとう...」

シンが、笑ったようにも見えた。

[何か飲む?]

そう聞いたあたしにしがみついてくるシン。

[大丈夫だよ]

シンの髪を撫でて
ずっと抱きしめていた。

壊れそうな心で、生きてきたんだろう。
この瞳と表情のなさは
きっと深い闇があるんだろう。

そう思った。