空気が変わった、ような気がした。
凍るような、それでいて焼くような、鋭い空気。
「何をしている、と聞いている」
(綾織くん? 目が・・・・・・)
十夜の目が赤い。
血のように、ルビーのように。
「月野から離れろ。触るな、触るなっ」
一瞬のうちに間合いを詰め、十夜が桜太の首を掴んだ。
「う・・・・・・あ・・・・・・お、姉さん・・・・・・」
「!」
苦しげな桜太の声に、月野は我に返る。
「やめて! 死んじゃう!」
「!」
月野の声を聞き、十夜の手から力が抜けた。
「ゲホッ・・・・・・!」
咳込む桜太を、十夜は黙って見下ろす。
瞳はもう、赤くない。
「月野ちゃん、大丈夫?」
少し遅れて、椿が部屋へやって来た。
「花村さん・・・・・・」
「・・・・・・ひどい格好」
椿は縄を解き、月野の素肌を隠そうとする。



