西田という人のネクタイラインの色は白。つまり、一学年上の二年生だ。ちなみに有里たち一年生は黄色で、一目で学年が分かるようになっている。


男子の集団にいた遠藤を呼びに行く。ほとんど話したことがない人ばかりで気が引けたが、先輩を待たせている以上、ぐずぐずしてはいられなかった。


『遠藤君、西田先輩って人が呼んでるよ』


『あ、マジだ。ありがとう』


遠藤君と西田先輩は知り合いらしい。


慌てて走っていく遠藤君に目をやったが、直ぐ後に香織に呼ばれ、その出来事はしばらくの間、忘れ去っていた。


だが、それからの西田先輩との接点は意外に多く、委員会や文化祭、体育祭など、いつの間にか知り合い以上になっていた。


というのは、バスケットボール部の副キャプテンであった西田先輩とバスケットボールの推薦で入学した遠藤は、同じ中学の出身で仲が良く、しばしばクラスに来ていたからだ。




告白は西田先輩から。


あまりに嬉しくて嬉しくて、その時のことはほとんど覚えていない。恥ずかしさで、一時は西田先輩の目が見れなくなった。


付き合い始めた時の帰り道、学校から離れた道で手を繋いで会話をしながらも、有里は顔を赤くして、きょろきょろと周りの目を気にしていた。


『……照れすぎだろ、有里』


照れまくる有里を見た西田先輩も、つられたのか少し顔を赤くして呟く。身長が高い西田先輩は、少し腰を屈めて有里の唇に軽いキスをした。