「そうだったんだ」


――祭りの話。
西田先輩はその話についてどう思ったんだろう。予定は空いてないんだろうか。そんな不安ばかりと淡い期待が起こる。


「塾もねえし行けるよ。てか、この頃、全然会ってねえから、誘おうかって思ってた」


「本当ですか!?」


嬉しさの余り、自分が敬語に戻っていたことに気付かなかった。ちゃんと声を聞こうと、横になっていた身体を起こした。


「本当本当。けど、また敬語使ったな? 使うなって言ったじゃん」


「あっ……ごめんね」


怒られた。思わず身体をしゅんとして有里が謝ると、耳元で西田先輩のくすくすと面白そうに笑う声が聞こえてくる。


「そんなに嬉しい?」


「うん。……早く会いたい」


「何、有里、やけに素直じゃん?」


からかうような低い声音で囁かれ、有里の顔は一瞬で熱くなる。いつもはそのように囁いたりはしないのに、不意をつかれた有里はズルいと思った。