「……〜〜〜〜変態!」


「見たんじゃねえよ、見えただけ」


けらけらと笑う千秋を赤くなって睨むと、ふいに彼は真面目な顔付きになり、有里の手を取ってそっと重ねた。


「この頃、全然会えなくてごめん」


「ううん、いいよ。本当は勉強で忙しいのに今日一緒にお祭りに来れて嬉しい」


寂しいのもあるが、これも本当の気持ちだ。千秋に夢があることは知っている。だけど、彼女として放置されるのも悲しい。


こうして一緒にいることがどれだけ幸せか、あまり会えないときに良く分かった。


ちゅっと子供のように頬へキスをした有里は、みるみる赤くなる千秋に目を見張った。


「……マジか。うわ、何かアレだ。照れる」


「真っ赤。千秋の顔、赤いよ」


「敢えてそこ言うなよ……カッコ悪ぃだろ」


さっきまで子供らしからぬキスをしていた彼氏が、今では背けた顔が小さな男の子のようで、とても十八の高校三年生には見えなかった。


「千秋、大好きっ」


「……二人の時だけ積極的だよな。俺が人前で何かした時は、嫌がるくせに……」