西田先輩の腕をぎゅっと胸に抱いて、そっと上目遣いで見上げる。周りがそういうことをしている人たちばかりだったのが影響したのだろうか。


じっと西田先輩の目を見上げる。自分でも少し大胆なことをしていると感じた有里は、途端に自分が恥ずかしくなって赤くなった。


――上目遣いは、やっぱり効果がある。


「……はいはい、ちゃんと撮るから」


西田先輩は、ついに折れた。


(ごめんね。ちょっとだけ、わざとです)


順番を待っていると、機械と機械の狭い間まで来た。次だと考えていていたとき、ふいに西田先輩が髪に触れてくる。


主に毛先を触っているあたり、緩めに巻いた場所が気になるらしい。


「さっきの。上目遣いとかセコいだろ」


「だってプリ撮ってくれないじゃん……」


「プリクラとか、変な顔になるから嫌」


「でも、撮ったことあるんでしょ?」


「……まあ、あるけど」


戸惑うと首をさする癖がある西田先輩。
いつ誰と撮ったのかは気になるが、あまりいい顔をしていない西田先輩を見た有里は、尋ねるのを止めた。