そうしている間に、時計の針は五時を示す。そろそろだろうかと辺りを見回すと、見慣れた顔がこちらへ歩いてくるのが見えた。


「……西田先輩!」


「ごめん、有里! 遅れた」


「ううん。人が多いから、もしかしてそうかなーって思ってた。大丈夫?」


そう問いかけると、西田先輩は苦笑いをして頷いた。その顔を見た有里は、人がたくさんいて疲れたんだろうなと、混雑に巻き込まれた西田先輩の気分が簡単に想像できた。


「お祭りが始まるまでちょっと遊びたい」


「ああ、いいよ。どこ行く?」


「プリ撮りたい!」


「……マジで? まぁ、いいけど……」


渋る西田先輩を引き、近くのゲームセンターに入る。


ここのゲームセンターは大きい。観覧車付き、六階立てのアミューズメントパークに入っているゲームセンターは、やはりというか、若い人たちが列をなして遊んでいた。


女の子たちはプリクラの前に、男の子たちはゲームの前に行くのだが、カップルは割とプリクラの前に押し寄せている。


「俺、プリクラ好きじゃねえんだけど」


「うん。お願い、一回だけ……」