待ち合わせ時間の四時三十分を過ぎた。


いつも待ち合わせ時間前に着いている西田先輩。今日は夏休みの土曜日、そして祭りがあるということもあり、交通機関はとても混雑していた。


時間に律儀な西田先輩が連絡もなく遅れるはずがないと思った有里は、きっと渋滞や人ごみか何かに巻き込まれたに違いないと思った。


(西田先輩、大丈夫かな……)


日差しの暑さに有里は日傘を差す。行き交う人々も口々に〝暑い〟とこぼしているのが聞こえた。それでも声が弾んであるのは、今日が祭りだからだろうか。


ほんやりと他愛もないことを考えていると、バッグの中で携帯電話が鳴る。



12/08/25 16:51
From西田先輩
  本当、ごめん
━━━━━━━━━━━━

電車が混んでて遅れる。
5時には着くと思う…

━━━━━━━━━━━━
    -END-



12/08/25 16:52
To 西田先輩
Re:本当、ごめん
━━━━━━━━━━━━

はーい!
気を付けてねo(^o^)o

━━━━━━━━━━━━
    -END-



(……後、少しじゃん)


途端に気分が上向きになる有里は、日傘を持ち直して祭りの準備が行われている市内をぐるりと見渡す。ここからは見えないが、海側では花火の準備がされているのだろう。