その日は随分と平和な日で、秋なのに、とても暑かった
私はバックからお気に入りのヘッドフォンを取り出し、暇つぶしに音楽を聴き始めた

この曲なんだっけ………?

私は思い出せないまま、その曲を聴いていた




きっと、あいつも、この曲を聴いているんじゃないか




ふと、そんなことを思った

私はこの世界が嫌いだ
この世界が大嫌いだ

きっとあいつに伝えられないんだろう
伝えられないまま、私は死んでしまうんだろう

未来予知では、夏に死ぬはずだった私はここにいる

あいつがいつも守ってくれたから。

守ってくれて、こうやって生きていられるのに、なかなか、自分の気持ちを伝えられないことに、イライラする

早く言えば終わることなのに、言えば、ラクになれるのに、

なぜ、こうも、簡単に言えないんだろう

少し前を見たら、沙羅が来た

「美里!」
手を振って駆け寄ってきた

なんか、子供ぽいな

ヘッドフォンをはずし、肩にかけた

「今日はどこ行く?」
私の表情を窺いながら聞いてきた

もう少し、かっこよく言えないのか、こいつは。

「じゃあ、遊園地、行く」
私はそう答えた
「うん、じゃあ行こう!」
沙羅は私の手を取り、ひっぱりぎみに歩いた