けたたましいアラームの音で目を覚ました
手探りで音の鳴っている、時計を止めた。
時間を確かめた後、再び目をつぶり、最大級のため息をつく。

……おかしい。いや、マジでおかしい、絶対おかしい。
今日は10時間も寝たはずなのに、この恐ろしい眠気はなんだ。
体に受けた満足度が少なすぎる。
なにがいけなかったんだ。
ゲームをやっていなかったから、「もっとゲームをやってから寝ろ」とでも言っているのか?

体中が倦怠感に満ち溢れ、「よせ!もっと眠らないと死んでしまうぞ。考え直せ!」危険信号を発している。
危険信号を受け取った脳が、「布団から抜け出さなくて済む方法」を考え始めた。

例えば、作戦その1『仮病』
私は今、母と二人暮らしだ。
きっと「体調が悪いんだけど…」など言えば、学校なんて簡単に休めるだろう。
母を騙すことは少々気が引けるが、この際仕方ないと言える
休むために!

しかし、この作戦は非常に良くない。
下手に「体調不良だ」なんて言ったら、病院に送り出される確率、99%
病院行きなんてゴメンだ。
なにがあっても行きたくない。

とにかく、そんなことで作戦その1はダメだ。
ここまでの演算所要時間は約2分。早く考えなければ。

作戦その2『今日は実は休校日だった』

母に実は今日休校日だったと伝え…ここまで考えて昨晩「明日お弁当いるの?」と聞かれたときに、「うん、卵焼きが食べたい!」なんて会話があったことを思い出す。
……私は馬鹿野郎か!なにが卵焼きだ!お弁当よりも「睡眠時間延長チケット」をリクエストするべきだった。(そんなものは、もちろんないんですが)
そんなことを思っていると、昨日リクエストした、卵焼きのにおいがしてきた
母が心を込めてお弁当を準備しているのだろう。

必死にサボることを考えていることが罪悪感で「うぅ…」と声が漏れる。

くだらないことを考えているうちに、階段を上がってくる音がした
これは間違いなく、私を起こしにくるためのものだ。

一気に布団をかぶり、最後の悪あがきをする。
ああ……もう時間がない……作戦3……作戦……。

「いつまで寝てるの!!早く起きて支度しなさい!」
「うぅ……あい…」

作戦失敗。
開けられたカーテンから眩しい光が入り、私の目を眩ませる

私の頭の中で「GAME OVER」の赤い文字を思い浮かべた。