慎一のマイナスエネルギーの浄化が決まった天上界では、準備が進められていた。
力のある天使達が大勢集められ、エレーナとさやかも加わっていた。
「エレーナ、さやか、二人に話があります」
二人は、イザベラ幹部の部屋に呼ばれた。
「貴方達二人を浄化作業から外します」
エレーナ「そんな、どうしてですか?」
さやか「私達にもやらせて下さい」
突然作業から外され、戸惑う二人。
「貴方達には、別の仕事を与えます」
エレーナ「別な仕事ですか?」
イザべラ幹部は、少し間を置いてこう言った。
「確かに浄化作業は、すごく大切な仕事です。でも、貴方達にはもっと重要な仕事を与えます」
さやか「もっと重要な仕事?」
「慎一のこれからのためです」
どうやら、イザべラ幹部は何か考えがあるようだ。

慎一の自宅の前に続々と天使達が集まってきた。百人はいようか。
以前、ジェシーが天使達を率いて来た時よりはるかに多い。
それだけ慎一のマイナスエネルギーが巨大なのだ。
慎一は、天使達と同時仮契約をした。
そして、マイナスエネルギーの浄化を強く願った。
「皆さん、これから浄化を始めます。
これは、すごく重要な任務です。全世界と宮原慎一の未来がかかっています」
イザべラ幹部の合図のもと、天使達によるマイナスエネルギーの浄化作業が始まった。
皆、一斉に慎一の方に手をかざし、天使の力を使い始めた。
だが、そこにエレーナとさやかの姿はない。
「エレーナと姉さんは?」
慎一はエレーナ達を探した。
「あの二人には、別の仕事を言いつけてあります。浄化作業が終わる頃に戻って来るでしょう」
「そうか」
イザべラ幹部の言いつけと分かり納得する慎一。
浄化作業は、困難を極めた。
慎一のマイナスエネルギーは、あまりにも巨大化しすぎて、そう簡単に浄化出来るようなもの
ではなかった。
時間が経つにつれて、天使達の消耗も激しくなってきた。
そのうち、1人、2人と力を使い果たし、座り込む天使達が出てきた。
中には、倒れこむ者もいた。
マイナスエネルギーは、慎一が思っていたよりもはるかに強大だ。
「イザベラ幹部、あの天使達はどうしちゃったんだ?」
「皆さん、決して無理をしてはなりません。疲れた者達は、天上界に帰って休んで構いません」
イザべラ幹部は、天使達を気遣う。
疲れた天使達と交代するために、援軍が派遣されてきた。