そう思った私は幹部会に相談し、慎一さんに合わせようとしたんです。
慎一さんは、あれから私と口を利いてくれなくなりました。
私が何を話し掛けても聞いてもらえませんでした。
慎一さんと話せるのはさやかさんしかいないと思ったのです。
今まで嘘をついていてごめんなさい。
私は、どうしても慎一さんをマイナスエネルギーからを助けたかったんです。
慎一さんには、幸せになってほしいんです。
貴方のことが誰よりも好きだから」
エレーナのほほをそっと涙がつたった。
「そうだったのか」
慎一のことが好き。綾香が言っていたことは本当だった。
誰よりも慎一を心配し、さやかとの再会までさせてくれたエレーナ。
偶然見かけたさやかを覚えていて、慎一のために機転を利かせてくれたのだった。
だが、慎一はエレーナを疑った。そして、さやかまでも疑い続けた。
俺は、一体何をやっていたんだ?
慎一は、しばらく一人になって考えた。
ただ、ぼんやりと。
近くて遠い天上界……
決して人間の手が届かない異世界。
エレーナは、人間界にたった一人でやってきた。
とても心細かったであろう。
そんなエレーナの気持ちに応えよう。
浄化を受け入れよう。彼女のためにも……
慎一の気持ちは固まった。
「エレーナ、姉さん、俺を浄化してほしい」
信じよう、エレーナを、そして姉さんを。慎一は、強くそう思った。