安政の大獄

桜田門外の変



次々と、‘時代’が変わる時代。


正直、いつまで幕府が持つかも分からない。

徳川政権が崩れるのも、時間の問題だろう。




「小野寺。俺は、怖いのかもしれないな」


「…………」


「‘人の死’が」




そう自嘲する土方は、いつもみる鬼の副長ではない。



一人の、‘人間’だった。




「だから、焦ってんのかもしれねえ」

続ける。


「いつ死ぬか分からない今、お前といつまで一緒にいられるか分かんねえから」


「………そん、な…」



「だから、後悔したくない」





土方は、笑った。