「……俺は、沢山の人間を斬ってきた」


視線を落とす。


「国のためだと信じて、沢山の人間を斬った。江戸幕府の味方であるとの近藤さんが望むなら、俺はこれからも斬り続けるだろう」


「……うん」


「俺は、人の死には慣れている」


「……うん」


「なのに、笑っちまうよな」

そして土方は、自嘲気味に笑った。





「女が死ぬことは、怖いなんて」




‘死’は冷たい。

‘死’は怖い。

‘死’は寂しい。




その‘死’が隣にある時代。


次々と年号が変わり、次々と西洋新しい物が輸入され、次々と戦争が起こり、次々と人が死ぬ時代。



それが、小野寺のいる‘幕末’の時代だった。