沈黙に耐えかねて、ナツキは口を開く。 「驚いたよ。楠野さん、俺の名前知ってたんだね」 彼女が微笑む。想像よりもずっと幼く、あどけない笑みだった。 「そう?支倉くんが私の名前知ってる方が意外だったけど」 「だって、楠野さん美人だから。知ってるさ」 ナツキはお得意の軽口を叩く。 しかし、彼女が美人だということは本当だった。 「ふふ、嘘ばっかり。こうやって女の子をおとすのね」