「夏音」
それは突然のことだった
私の名前なんか一回も呼んだことないのにいつも呼んでるかのようにあなたは笑ったでしょ?
「なんですか?魁斗先輩
私の名前なんかいつも
呼ばないのに(笑)」
「え?そう?」
笑いながら先輩は言う
「そうですよ!
私達前話してたんですよ
『先輩絶対私たちの名前
覚えてないよ』って」
先輩は黙ったままだ
いきなり呼んだから何か
話があると思ったのに
なんで沈黙…
頭を少し悩ませるけど
沈黙が苦手な私は続ける
「だから私たちの予測
なんですけど、先輩は
きっと可愛い子の名前
しか覚えないんだっ…
え?
なに、なにこれ
事態が飲み込めない
私は、先輩の腕の中にいた