暖かな日差し、ひらひらと舞う桜の花びらは真っ黒な髪の毛の少年の髪に舞い降りて―――……なーんてことはあるはずもなく。
今は太陽がカンッカン照りの夏真っ盛り。
そんな時期にこの光色高校(コウシキコウコウ)に転校することになった少年の名は、
『初めまして、白旗无(シロハタナイ)。不良です』
「………白旗 、確かに俺は名前と一言と言ったがもう少し空気を読め」
『そんなスキルありません』
転校早々、担任に"変なやつ"と認識された少年、无はむし暑い教室を縦断して指定された席に着く。
中々カラフルな教室は厳つい男ばかり。
女子なんて1人もいない。
もちろん、学校中に。
『(っていうか暑くね?ここ私立だよね?あっれー、おかしーなー。あれか、不良学校には資金はねェってか?おいおーい)』
担任の話を聞き流しながらボーッとそんなことを考える。
『(あー、男子の制服ってズボンだから羨ましかったけど、あれだな。実際はくと暑いわ、コレ)』
スカートをバサバサやっていた時期を思いだし、懐かしむ。
さてさて皆さん、もうお分かりでしょうか?
そう、この少年――……いや、少女。
白旗无は光色高校ただ1人の"女の子"なのだ。
とはいっても、无には皆さんが心配するようなことは心配しなくてもいい。
この無気力な少女は、正真正銘の"不良"なのだから。
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