―――じゃーな、荻野―――



もう、気づきそうだった。


高鳴る鼓動。

苦しいけど嫌じゃないこの気持ち。


だけど…


「杏里ー今日帰りプリ撮ろうよっ!」


胡桃がふわふわの髪をゆらしてうちの腕に絡みついた。

そして、あの可愛らしい笑顔を向ける。





―――想いを消すのと、胡桃を消すの。

どっちがいいかなんて決まってる。






「うん、行こ!」


「わーい♪」


うちは胡桃じゃなきゃだめなんだ。

胡桃を失えないんだ。


何を犠牲にしようとも。